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『歌仙はすごい』 [文学]

永田和宏氏らによる『歌仙はすごい』(中公新書)を
先日購入、瞬く間に読み終わってしまったところ。
楽しい本で、もっとゆっくり読めばよかった、勿体ない
ことしちゃった、と後悔しても後の祭り・・・。

連句なら、もう三十年以上前に、友人、と言っても私より
二回りも年上のTさんに教えてもらいながら、一度挑戦した
ことはあったのだが、私も短歌を始めたばかりの頃で、
言葉を組み立てるのに慣れておらず、ほんの入り口のところで、
止めてしまったことを覚えている。

東明雅著『連句入門』という本も購入しながら、とっつきにくく
感じてほとんど読まなかった。連句は難しい、という印象を
強く持ってしまっていた。ちなみに、現在では、
連句は歌仙とほぼ同義に使われている。

永田さんが小説家の辻原登氏、俳人の長谷川櫂氏らと歌仙に
挑戦し、その経過を記したこの著は、互いがどんなふうに
創作に苦しみ、工夫し、または作り直していったのか、が
実況中継のように綴られているので、とても親しみやすい。

男性三人なので、けっこう下ネタっぽい話も出てきて、
まあ、俳諧そのものが、ユーモアを尊重する分野でもある、
ということもあるだろう、とても楽しみながら言葉と
格闘している様子が伝わってくるのである。

始めて連句に試みたときは、色々と約束事が多いらしい、
と知って、そのことが煩わしく感じたことも思い出される。
あまり規則にとらわれないことが歌仙の楽しみ方の第一。
そして、最後に長谷川氏が描かれているように、己を捨て、
何かになり替わる、その軽やかな変身、転身、こそが
歌仙のだいご味らしい。短歌をやっていると、なかなか、
その辺りが難しそうだ(永田さんが苦労しておられる)。

機会があったら、私も挑戦してみたい、そんな気持ちに
させられる、さわやかな一書だった。
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