SSブログ

漢方薬 [言葉]

テレビを見ていた相棒が、「あ、あの字! 何て読むの?」
と訊いてきた。最近、こういうことよくある。
私が長年、短歌なんかやっていて、
「どうでもいいような漢字とか、一生かかって一度でも
耳にしないような言葉を(得意げに)知っているやつ」と
思われているらしい。

その時のテレビ画面はある薬品のコマーシャルを流していた。
漢方薬の一種で、その薬に含まれる生薬が何種類か掲げてあるのだが、
その一つに、難しい漢字が登場しているのだった。
きちんと目で捉えられないうちに、画面は切り替わってしまった。
「あ、もしかして、虫偏だった」
「うん、漢方薬って植物が多いのにな」
「でもないでしょ。中国の薬局には蛇とか蜥蜴とか、
鹿の陰茎まで売ってたじゃない」
「そうか・・・」

次にそのコマーシャルに出会うまで、数週間かかった。
あまりテレビを見ないからだが。
その問題の文字はさっと見た目、「蟾」と見えた。
漢和辞典でしらべてみると、「せん」と読み、ヒキガエルを指す
らしい。漢方として「蟾蘇」が有名とわかったが、これは私の
漢和辞典には載っていなかった。中国語辞典で調べてみると、

「がまの油 ヒキガエルの耳腺から分泌する乳液。乾燥させた
ものは漢方薬として、強心・鎮痛・止血剤となる」(中日辞典・小学館)
とあった。ガマの油が止血に効く、という話は、子供の頃、
街頭の物売りの口上で、知っていたことではあったが。

ちなみに「蟾」は、中国では「月」の異名でもあるというから驚く。
ヒキガエルが月の中にいるという、伝説から来ているらしい。
漢字って、面白いな、と改めて思う。一つの文字の中に、
数前年の中国の歴史が息づいていて・・・・。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0