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囀りの日 [短歌]

一昨日、日曜日の朝のこと。いつものように朝刊を読んでいると、
朝日俳壇の高山れおな氏の選句欄の一席に選ばれている句、

  囀りの塊木々を渡りゆく  愛川弘文

が目に留まった。ああ、良い句だな、としばしその句を
頭の中で転がしてみる。さえずりのかたまり、と読むのだろう。
「さえずりのくれ」とも読めるかもしれないのだが。ここはきっと
「かたまり」。雀のような小鳥の群れが、一斉に木々を渡っていく様子が
目に見える。作者は音のことしか言っていないのだけれど。

この句に触発されて、すぐに短歌の上の句、っぽいフレーズが
浮かんできた。こんなことはめったにないので、朝食の準備の途中で
メモに記してみる。少し手を入れてから、下の句を考え、考えながら
朝食のパンとヨーグルト、バナナを食べ終える。今日は第一日曜日。
「塔」の横浜歌会の定例日である。外はかなりの雨。

いつもなら徒歩で行くが、今日は運行時間を調べてバスを使う。
当日の詠草に目を通して、びっくり。まさに「囀り」を詠んだ
作品があったから。それも、万華鏡の中に沢山の囀りが詰まっていて・・・
と、かなりユニークな作品で、すぐに票を入れる。自由詠の15首の
中で、一首しか選べない日だったが、まっしぐらにこの歌に。

ああ、でもなんていう偶然なんだろう、囀りの句に感動し、自分でも
囀りの歌を朝食前に作る、なんて余りしたことのない行動を取り、
雨を押して出てきた歌会で、囀りの短歌に出会えるなんて。
五月七日は「囀りの日」として、登録しておきたいくらい。
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