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リトル・ジョー [映画]

2019年アメリカ制作の映画で、「ホラー」に分類されている。
密閉されたガラスの部屋で、沢山の赤い花が栽培されている。
その匂いを嗅ぐと誰もが幸せな気分になれる、という新種の花。
開発しているのは、10歳くらいの男の子を育てるシングルマザー。

その花の色は毒々しく、まるで意志があるかのように開いたり、
閉じたり。そして花粉を浴びた人には神経を犯すような
作用もあるのでは・・・。というように話は展開していく。
研究室で次々に異様な事故も起こり、いよいよ、赤い花の
危険性が現実化していくように見えるのだが・・・。

結末は、やや月並みな感じがしたのだが、この映画を観ながら
私が注目したのは、じつは映画音楽の方である。
私は普通、映画を観ているとき、さほど音楽に気が向かない方である。
ラジオなどで〇〇映画のサウンドトラックなどが流れて、
「ああ、そういえば、こんな曲が流れていたな」と後から気づいたり。
映画の筋を追いかけたり、主人公に感情移入していたりすると、
つい、音楽は抜け落ちている、ということが多いのである。

でもこの「リトル・ジョー」では、絶えず、流れる音楽の方に
気を取られた。なぜなら、その音楽がとても東洋風だったからである。
最初は、インドネシアのガムラン?と思ったのだが、すぐさま、
いや、日本の音楽だ、と気がついた。得体のしれない恐怖が
空を漂うような、横笛の響き。人の焦りをあおるような低い
太鼓の音。狂気が渦巻くような早い琴の音・・・。

映画を観終わってから、ずっとクレジットに目を凝らした。
こういうことは、普段はほとんどやらない。こんなときに限って、
映画のクレジットがひどく見にくくできていた。黒の画面を赤い
小さな文字で書かれていて、読みにくいことこの上なく・・・。

でも最後の方で、見つけた! 音楽を担当していた人の名を!
Teiji Ito とある。ああ、やっぱり、日本の音楽家だったんだ。

ネットで調べてみると、伊藤貞司、という作曲家がみつかった。
6歳で両親とNYに移住。とある。NYバレエ団の作品、Water Mill の
スコアを担当しており、この映画の中で流れていたのは主に
その中から選ばれたものだったのである。

伊藤は1935年東京生まれだが、82年に心臓麻痺で急死している。
あの音楽を聞くために、もう一度「リトル・ジョー」
を見るのも良いかな、と思われた。

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