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バニシング [映画]

「バニシング」、原題は「Keepers」。2018年イギリス制作の映画。
冒頭近くに「Inspired by a true story」とある。
1900年にスコットランド沖にあるフラナン諸島で起きた
事件(事故?)がもとになっているのだった。

フラナン諸島を地図で見てみると、イギリス本島のかなり
北西側。ほとんど大西洋の外洋に面する島群である。
この中の灯台だけがある小島から、トマス、ジェイムズ、ドナルドの
三人の灯台守(Keepers)が、忽然と消えてしまう。色々と調査されるが、
真相は謎のまま。百年余りを経て、この謎に挑む形で映画化
されることになったわけである。

トマスは若い時に妻子を亡くしていて、影のある初老の男。
ジェイムズは力もあり知恵もある中年の男で、もう一人
若いドナルドは、思慮にも教養にも欠けた、はすっぱな感じの青年。
灯台以外に何もない、小さな島に常勤するとなると、
やはり、どこか世捨て人の雰囲気をまとうのも当然だろうか。

イギリス映画は、あまり美男美女は登場しない、という印象がある。
だが、多くの俳優が個性的で、演技のうまい人が多い、とも思う。
灯台守を演ずる三人も、どなたも美男ではないが(失礼!)
それぞれ個性的で、たちまち映画の世界に引き込まれてしまう。

三人だけの島に、ある日、ボートが流れ着き、側には一人の
男が横たわっている。救助に向かったドナルドは彼が死んでいる、と思い込み、
側にある木箱を先に引き上げようとするのだが。突然、男に
襲われ、殺されそうになる。ドナルドは反撃し、男を殺してしまう。
引き揚げた木箱の中には、金塊が収められていた。

やがて、一艘の船がやってくる。二人の人相の悪い男を乗せて。
彼らは、ボートの男の消息と、木箱について質してくる。
とっさに嘘をつくトマス。そして、この小さな孤島は
血で血を洗う、争いの地となってしまう。

実際のフラナン諸島では、争いの跡はなかったらしいので、
映画はフィクショナルに展開されたもの。
でも、登場する俳優たちの迫真の演技で、実際にあったかの
ように錯覚してしまう。

ほとんど期待せずに見たのが良かったのかもしれない。
でも「バニシング」という邦題はやはり、変だと思う。
実際のフラナン諸島の謎は、まさにバニシング、消失、
だったが、映画の展開とその結果は、消失ということではない。
「灯台守」では、観客を動員できないんだろうなあ、と思う。
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