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絵画のうた(その3) [短歌]

先日、部屋の棚を掃除していたら、意外なものが見つかった。
中学生の頃に購入していた学習雑誌のグラビアを集めたもので、
いずれも世界の名画。中三になったころ、その雑誌のグラビアの
印刷が格段に良くなって、嬉しかったことも思い出した。

裏面に「旺文社立体世界名画」とあり、短い解説がついている。
今見ても色彩は鮮やかで、当時、何度も取り出しては見入って
いたことが思い出される。セザンヌの「赤いチョッキの少年」
ミレー「落穂拾い」ピサロ「井戸端の二人」・・・。

大学生になってからも、雑誌類や、銀行からもらう暦に載っている
絵画まで切り取って集めていた記憶があるのだが、印刷が
劣化するまま、捨ててしまった。その中に一枚、とても
不思議な魅力的な絵があったことを、最近思い出した。
きっかけは短歌である。

  虹のごとよみがへりくる画のなかに妹が姉の乳首をつまむ
                日高堯子『樹雨』

作者は誰だったんだろう。今はネットがあるから断然便利。
直ぐに調べがついた。作者は不詳だが、描かれているのは、
アンリ四世の愛妾、ガブリエレとその妹。ルーブルに収蔵されている
一枚らしい。入浴中を描いたもの、とこの度初めて知った。

妹はなぜ、姉の乳首をつまんだのか、つままれた姉は
どんな思いだったのか。二人は艶然とたたずむのみで、
その表情から心のうちは読めない。

それでも、二人の美しく輝く肌と、整った胸部が
爽やかなエロスを漂わせていて、何とも魅惑的な絵なのだ。
日高さんが「虹のようによみがえってくる」と表現されているように、
私も時々、不思議な幻想のようにその絵のことを思い出すのである。
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