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タクシードライバー [映画]

映画『タクシードライバー』と言えば、
映画ファンなら、必ず一度は見ているはず。
マーティン・スコセッシ監督の名作として名高いものだから。

私は1980年代の半ば、アメリカで生活していた時、
近くのヴィデオショップで、この映画をみつけヴィデオを購入した。
帰国してから観ようとしたのだけれども。

字幕がない上に、ヴィデオの画質も音響もよくなくて、
まあ、自分の耳の問題も勿論あるのだが、会話がよく聞き取れない。
そのため、再生し始めるとすぐ眠くなり、せっかく購入したのに、
最後まで見ないまま、DVDデッキに変更した時点で処分してしまった。

最近、WOWOWで放映していたので録画して見た。
傑作中の傑作と称賛する人が多かったので、期待していたのだけれど。

う~ん。 私にはさほどの作品とは思えないままだった。

ベトナムからの帰還兵である主人公、トラビスは
タクシードライバーとして勤務する日々に、満足できないでいる。
強い緊張と高揚感がなければ勤まらない戦場出の生活から、打って変わって、
変化に乏しい、平和な日常。両者の落差を埋めきれないのだろう。

そのあたりの、鬱屈感はよくわかる。若者らしい、自己顕示欲も理解できる。
のだが、しかし・・・。

彼はやがて苦い失恋を経験するのだが、それも当然だった。
ようやくたどり着いたデイトで、ポルノ映画の上映館に連れ込むなんて、
ちょっと、あり得ないというか、不自然な感じがぬぐえない。

これをきっかけに、相手の女性が後援会活動をしている
大統領候補者を暗殺しようとを企てるのである。

銃を大量に買い込み、
筋力トレーニングに励む、狂熱的な日々を送るのだが、

その割には、シークレットに目をつけられただけで、あっさり手を引く。
実行をあきらめる過程が、いかにも淡白で、ちぐはぐな感じがする。

そしてどういうことだろう、ジョディ・フォスター演ずる、少女の娼婦を救う
方に、突進してしまうなんて。まあ、これも一つの狂気の果て、
と捉えるべきなんだろうが。

私はあのまま、失敗しようが、大統領候補暗殺の方向へ
突っ走るべきだったと思うのだ。それでこそ
ベトナム帰りの狂気、を、強く浮かび上がらすことができたのではないか。

少女を救って、英雄になるなんて、ちょっと調子が良すぎる。

私にとって、物足りない映画ではあったが、
この映画がつくられた、七十年代のことが思い出された。
不思議にみんなが、ぎらぎらしていたあの頃のことを。
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