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オペラ・リゴレット [藝術]

ほぼ二年ぶりに、メトロポリタンオペラのビューイングを
見に行った。NYでもパンデミックでしばらく中止されていた
メトのオペラが再開され、そのフィルムを見ることができるように
なったのである。ようやく、という思いが強く、さらに
大好きなリゴレット、とあれば、万難を排し、見にゆかん、と心高鳴る。

リゴレットはLDを持っているのだが、デッキは製造中止になっているので、
故障して以来、ずっと鑑賞できずにいて。ストーリーも朧になっていたが。

リゴレットは宮廷の道化師。背中にコブがあり容姿が醜い。そのため
世を恨んでいる。道化師という職業柄、舌鋒鋭い彼には敵も多い。
彼には美しい一人娘ジルダがあり、自分に敵が多いことを意識している彼は、
ひたすら娘を隠し、彼女にも教会以外への外出を厳禁しているのだが。

ジルダは教会への帰途、自分の後をつけてくる若い男に恋している。
その男は宮廷でも有名な女たらし、マントヴァ公爵だった!
そこから悲劇が始まる。

演目の題からいくと、主役はリゴレットのはずなのだが・・・。
物語を中心となって引っ張っていくのは、あきらかにマントヴァ公爵である。
音楽的にも、華やかなテノールを担当するし、なにより超有名なアリア、
「女心の歌」を歌うのは、リゴレットではなく、公爵の方なのだから。
私が持っているLDでも、表紙に登場するのは公爵役を務めた
バヴァロッティで、リゴレットは誰が担当したか、印象が薄い。

でも、物語の基本となっているのは、リゴレットの生まれついての
身体的なハンディであり、そこから導き出される悲哀であり、怨恨
なのではないだろうか。そこがもう少し強調されてもよかったのでは、
と思ってしまう。娘の遺体に取りすがって号泣するリゴレットに
かぶさるように高らかに鳴り響く、女心の歌の旋律を
複雑な気持ちで聞いた。まさに惡の華、のような歌声がいつまでも耳に残った。
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