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古裂 [藝術]

第四歌集を出そうと思い立った、昨年の八月。
これまで作った歌でPCに入っていなかった分を打ち込み、
あれこれと入れ替えたり、改作したり、新たに作ったり・・・。

そのかたわらで、装丁のことをぼんやり考えていた。
これまで、三冊歌集をだしているけれど、装丁はほとんど
出版社にお任せしてきていた。その結果は・・・。
正直、あまり満足できたものではなかった。

装丁なんて、中身と関係ないんじゃない、と思われる方も
いるかもしれないが。そしてかつての私も、けっこう
軽く考えていたところもあったのだが。実際には、そういう
もんじゃない、やはり、自分の満足のいくものにしたい、
と、強く思っていた。歌集の出版社の中には、作者に色校も
見せず、そのまま印刷する、という場合も多かった。

私は、今回の歌集にはプロの方に装丁を頼まず、自分が
撮影した写真を使えたら、と思っていたが、それが通るのか。
出版社にその写真を送るときは、ちょっとびくびくした。
でも、杞憂だった。今回の出版社は、とても親切で、こちらの希望に
最大限、耳を傾けてくれた、と思う。

私が撮影して、装丁に使いたかったのは、三十年ほど前に
入手した藍染の綿の古裂である。

IMG_20210929_083818_BURST002.jpg

40センチ×80センチくらいの小さな布で、
写真を見てもらうとわかる通り、真ん中で接ぎ合せてある。
一部はとても薄くなっていて、裏から丁寧に当て布がしてある。
産地がどこか、詳しいことはわからなかったのが残念だが、
エキゾチックな雰囲気が気に入っていて、歌集題『海の琥珀』とも
合うのではないか、と密かに思っていた。

装丁に加工してもらう段階で、何度も見本をだしてもらい、
訂正を重ねてもらえたことも嬉しかったのだが。

歌集が出版されると、この装丁について触れてくる方も多くて。
何かまた一つ、自分を取り巻く世界が広がったような気がしている。
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