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それって、方言? [言葉]

中学卒業後に東京都内に家族で転入した。
それまで暮していたのは、山形県南西部の小さな町。
田舎暮らしから、いきなり都会に出て来て、慣れないことも
多々あったけれど。まあ、若かったし、それなりに
周囲に溶け込んで、目立たないように過ごしてきたつもりだが。

高校時代はけっこう、面食らうこともあった。
その一つが、方言。自分では「たぶん、方言」と
分っている言葉と、わからない言葉とがあったこと。
前者は周囲を困惑させるだけだから、できるだけ
共通語に替えてつかっていたわけだが。
たとえば、「いたましい」。これは東北では
「悲痛に思う」という意味ではなく、「もったいない」
ということである。無生物にも心を寄せる、東北人らしい
ことばと思い、大好きなのだけれど、これは東京では通じない。

ほかに「こわい」は「疲れた」だし、「なげる」は「捨てる」
の意味。札幌育ちの知人が「全部投げてきた」と言って、
周囲の人を「随分力持ちだ」と、驚かせていたことがあって、
「ありゃ、捨ててきた、ってことだよ」と可笑しかったことがあった。
北海道も同じように使うんだな、とも、気がついた。

でも、知らないで使ってしまい、周囲を爆笑の渦にして
しまったことがある。高校二年の修学旅行の夜に。
友人が持ち込んだトランプをして遊ぼうということになった。
ポーカーフェイスを始めたとき。私は、トランプの札を見て、
「あ、アカモモだったらな」と言った時。
「え、なんだって? 今、なんて言ったの!?」
と問い詰められて、面食らった。
だから、この札が「アカモモ」なら、って。

「きゃあ、ははは、ハートのことをアカモモ!?
じゃあ、この札は?」
ああ、しまった、これは東北の方言だったのか、と
思ったがもう遅い。「じゃあ、こっちはなんて呼んでんの?」
「これは、クロモモ(スペードを指して)。
こっちはミツバ(クラブ)、ヒシガタ(ダイヤ)」
「うわ、可愛い! 知らなかった、そんな呼び方!」
と、それからしばらく、アカモモじゃあ、クロモモだ、
なんて、呼び合って、私をおちょくってくれたのだった。

このトランプの模様の呼び方は、東北でも山形県に
特有のものらしい。ずっと、共通語だとおもってたのに。
つまり、ダイヤとかスペードとかの外来語に対する、共通の
和訳語だと思い込んでいたのだ。あ~あ。




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