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木の香り・夢の歌 [短歌]

夢がそのまま歌になったら、すてきだな、って考えたことがある。
かなり虫のいい話だが。そして、夢を見ながら、ああ、これ、
きっといい歌になる・・・。と考えていて、実際夢の中で
歌に詠んでいたこともある。覚えていなくちゃ、こんな良い歌
なんだから、忘れちゃったら損だ。きっと覚えているぞ、いや、
今起き上がって、メモしといた方が良いかな、これ、夢に
決まっているんだから・・・。とか、そこまで考えていたこともある。

でも、朝になったら、「あ、夢の中で確かに歌、詠んでいた」
と覚えているのに、もう、まったく思い出せない。どんな夢だったか、
漠然としか思い出せないことさえ多い。まったく、損した。
と、一人で嘆いていたりすることも多いのだけれど。

今年の一月三日の夜に見た夢の場合は、奇跡的だった。
夢の中で歌を詠むことこそしなかったけれど、目が覚めたとき、
見ていた夢の場面がありありと浮かんできて、もう、ああ、
これこそ歌に詠まなくちゃ、と思い、そうしてできたんだから!

夢の内容というのは、こうである。
私が月に三四回でかけているアトリエは、なだらかな丘の上にある。
夢の中で、いつものようにそのアトリエに行くと、これまで
見かけたことのない人が何人か、すでに作業している。
彼らは、絵を描いているのではなく、大きな丸太を削っているのだった。

アトリエの中は、新しい木の匂いでいっぱいなのだった。
驚いていると、先生が「今度から、版画家さんも加わることに
なったのですよ」と仰るではないか。そうかあ、それはまた、
面白いことになるなあ、と期待している私。

それで目覚めてから作った歌が

  版画家も加わりてより鮮しき木の香ただよう丘のアトリエ
                   岡部史

メールで行っている歌会にこの作品を出詠すると、
版画を習っていたことがある、という方がおられて、
「版木の種類によって、匂いが異なっていて・・・」と
丁寧な解説をしてくれて、恐縮してしまった。
夢の歌、これからも作れたらいいな。
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