SSブログ

列車と吹矢 [短歌]

先日、湘南歌会に出席してきた。
ふだんは横浜歌会中心に活動していて、
ここに来ることはあまりないのだけれど。

歌会の後、みんなと食事(一部、ビール、ウーロンハイ)をしていたとき、
A女さんが、「塔」三月号を取り出して、何か話し始めた。
私の席からもっとも遠いところに座っていたので、
最初は何が話題になっているのかわからなかったのだが。

  「しらさぎ」は吹矢のごとく降る雪を逃れて北陸トンネルに入る  石橋泰奈

「百葉集」というコーナーで、主宰の吉川宏志氏が取り上げている作品について
どうも、その解釈に違和を感じている、ということらしかった。
私も実は、三月号を読んですぐ、思ったことだった。

要は、この歌で、「吹矢のごとく」がどこに掛かっているのか、という点である。
吉川氏は、これを「しらさぎ」ととらえ、「『降る雪』に係るようにみえてしまうのが
もったいない」と書かれている。
でも、そうなのだろうか。「雪が吹矢のごとく降る」のではないか。
A女さんはそう話し、私と、もう一人B女さんもそう言う。

ところが、面白いことに男性陣は吉川説に賛同するのである。
「吹矢は真直ぐに飛ぶでしょ。雪とは動きが違うよ」
ご自分もアーチェリーを趣味としておられるA男さんは
私たち女性陣の考えを一蹴した。

雪が吹き矢のように列車に降りかかる。
それを逃れるように、トンネルに入った、と見る方が、
叙述のされようを見る限り、自然ではないだろうか。

余談ながら、作者は女性、評者の吉川氏は(当然ながら)男性である。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

トラックバック 0